AIを活用した運動支援で可能性を広げる

車いす利用者の新たな挑戦を支える取り組み

当財団が運営する新北市三重重新障害者デイサービスセンターでは、障害のある方の健康維持と身体機能の向上を目的として、AIを活用した運動支援システム「悠健環」を導入しています。障害のある方の中には、加齢や運動不足、入院による長期療養などをきっかけに、身体機能が大きく低下してしまう場合があります。そのため、日常的に身体を動かす機会を確保し、一人ひとりの状態に応じた運動を継続することが重要です。当センターでは、テクノロジーを活用しながら、利用者の皆さんが安心して運動に取り組める環境づくりを進めています。

AIによる運動データの可視化

「悠健環」は、運動時間や速度、運動頻度などのデータを自動で記録し、一人ひとりの運動状況をわかりやすく可視化できるシステムです。利用者は自身の運動状況や目標達成度を画面上で確認できるため、運動への意欲向上にもつながっています。また、支援スタッフもデータをもとに利用者の変化を把握しやすくなり、より適切な支援計画の作成や運動プログラムの調整が可能となりました。特に、時間の感覚を把握することが難しい利用者にとって、進捗状況を視覚的に確認できる仕組みは大きな助けとなっています。目標までの距離がわかりやすくなったことで、主体的に運動へ取り組む姿勢も見られるようになりました。

一人ひとりに合わせた運動環境づくり

当センターでは、システムの導入だけでなく、利用者の身体状況に応じた運動機器の整備にも取り組んでいます。例えば、一般的なトレッドミルでは速度が速すぎる利用者のために、時速0.2キロから利用できる低速型トレッドミルを導入しました。また、安全性を高めるために長めの手すりを備え、安心して歩行訓練に取り組める環境を整えています。こうした取り組みにより、これまで歩行訓練が難しいと考えられていた利用者も、新たな挑戦ができるようになりました。長年車いすを利用している利用者の一人は、専門スタッフの支援のもとで継続的にトレーニングを重ねた結果、トレッドミルを使用した歩行訓練に取り組めるようになりました。本人にとって大きな自信となるとともに、支援の可能性を広げる成果にもつながっています。

支援現場の質の向上にも貢献

AIシステムの導入は、利用者への支援だけでなく、支援現場の業務効率化にも役立っています。これまでスタッフは運動内容や時間を手作業で記録していましたが、現在はデータが自動的に蓄積されるため、記録業務にかかる時間を削減できるようになりました。その分、利用者とのコミュニケーションや個別支援により多くの時間を充てることが可能となっています。さらに、蓄積されたデータは理学療法士との情報共有や支援計画の検討にも活用されており、より客観的な視点から利用者の変化を確認できるようになりました。

テクノロジーと人による支援をこれからも

テクノロジーは人に代わるものではなく、人による支援を支えるための大切な手段です。当財団では、AIやデジタル技術を活用しながらも、一人ひとりに寄り添う支援を何より大切にしています。今後もテクノロジーと人による支援を組み合わせながら、障害のある方が自分らしく地域で暮らし続けられる社会の実現を目指し、活動を続けてまいります。